『ケーキの切れない非行少年』を読む

読書メモ

この記事では、今話題になっている、宮口幸治さんの『ケーキの切れない非行少年』から、読んで感じたことを書いていきます。

問題行動の多い少年に、かなりの割合で認知機能障害が含まれるというショッキングな内容ですが、「問題行動の原因が特定出来れば対策もできる」という著者の主張はこれまでの矯正を中心とした対策から、一歩前進できるのではないか、と感じました。

反省以前の「不良少年」

これは、本書のオビに掲載されている、「非行少年がケーキを三等分」した図です。

我々、がもし同じことをするとしたら、ベンツのマークみたいな切り方をしますよね。

小学生でも易々とこなすであろう簡単なことが出来ない、それが著者の驚きであったそうです。

そして、これまで少年院で向き合っていた子供たちがこのような能力であると気づいた著者に大きな疑問符が付いたと言います。

それは…このレベルでの認知能力の欠如を持っている者は『自分の間違いを理解できるのか?』ということ。

反省すれども同じ間違いを何度もしてしまう者は、そもそも認知が歪んでいて、事実を知っても誤った結論を出すばかりではないか、と考えたわけです。

学習支援ボランティアで感じた違和感

さらにいえば、学校を落ちこぼれて問題行動に走る人間は、早くも小学校2、3年から授業から脱落してしまう子も珍しくない、とのこと。

そのかなりの割合で、学習障害が認められるとのことでした。

私もコレには心当たりがあります。

以前取り組んでいた学習支援ボランティアで、勉強を教えてた時のこと。

このボランティアにやって来る子たちの中には勉強以前の「何か」が欠けている、と感じる子がいました。

間違えたものを直して理解させたつもりでも、また似たような問題が見抜けず間違えたりする事が多かったです。

とはいえ、一介のボランティアでは、目の前のやり方に従う他なく、その過程でボランティアを仕切っている人とも認識のズレを感じてしまいました。

もっと自分がこの本の実情を理解していれば多少の力になれたかもしれない…そう感じています。

能力の弱さは訓練で向上する

本書では、こういった問題行動を認知能力の訓練で改善させた事例が数多く採録されています。

そして、こう言ったトレーニングを行うことで自分を客観的に評価し、正しく自分を省みる事が出来るようになると書いています。

すなわち、彼ら彼女らが生まれついての悪なのではなく、障害が悪事をなさしめる、という事です。

そしてこれは少年に限らず、現在収監されている受刑者や、累犯を重ねる者たちにも当てはまるということでした。

だからそのような障害を幼少期から捉え改善することは、犯罪者に堕してしまう人間を減らすことになり、その結果、犯罪被害者を減らすことにもなると訴えています。

また、従来の検査では軽度の障害と診断される人間も、人それぞれに弱点となる場所が違うためで、社会的にそのまま問題なく適応できるという証明にならない。

むしろ彼らを健常者とすることで、ケアを受ける機会を失いその結果、警察のご厄介になるまで一切手助けなしの放置状態に置かれる人も少なくないそうです。

キチンとトレーニングすることで将来犯罪に走る可能性を減らせるので、決して軽んじてはいけないともあります。

非行と言うと、個人的な性格の矯正に主眼が置かれがちですが、社会的な安定のためにも、もっとこの本の主張が世の中に広がればいいなと思います。

コメント

タイトルとURLをコピーしました