読めば読むほど思考ガチガチに!ヒトラー先生の「しくじり読書法」

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何かを学ぼう、という時真っ先に思い浮かぶのは「本を読む」こと。

そして歴史上の人物でも寸暇を惜しんで本を読みまくり、偉業を成し遂げた人物も少なくありません。

しかし、本は「読む」人の取り組み方によって毒にも薬にもなります。

この記事ではドイツ第三帝国総統アドルフ・ヒトラーの読書術から「反面教師」として学ぼうと考えます。

繰り返しになりますが、読書は人に学びを与えますが、逆効果になる読書法もあります。

時にそれは思考を狭め、不幸への道を進むことにもつながるかも…

多くの人命を奪い、破壊のかぎりを尽くして今なお負の遺産を残す

20世紀最強の「しくじり先生」から学ぶ、やってはいけない読書術です。

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意外?ヒトラーは読書家だった!

『ヒトラーの秘密図書館』(ティモシー・ライバック著、文芸春秋)は、彼の思考の裏側が伺える面白い本です。

この本はヒトラーが個人的に所蔵していた愛読書の中から、特に書き込みや傍線などの入った愛読書を検証。彼の経歴にすり合わせながら『あの』人格がどのように形成されていくかを書いてある一冊です。

ヒトラーは読書家だったのは有名で、学歴の低さをその読書量でカバーしたという話を以前読んだ本で知ってはいました。その読書量は群を抜いていて、蔵書は戦後連合国が接収した時に膨大な量にのぼったそうです。

彼はその人生でとにかく本を読み漁り、その内容を側近との食事でひたすら喋りまくっていました。

しかし、本好きの人間としてはどんな本を読めば「ああいう人間」が出来上がるのかが非常に気になるところです。同書を読み解くと、彼の前半生では大ドイツ主義というか、後の彼の芸術に対する考え方の原点のようなものが仄見えます。

例えば彼が1915年に購入した『ベルリン』という本。ベルリンの町を芸術的な観点から滅多切りにする内容です。

今ならさしずめ実話BUNKAタブーの「このラーメンがマズイ!」みたいな感じですな。

面白いのはこの著者がユダヤ人で、ナチス政権下で禁書になってます。その本をヒトラーが熱心に読んでいて、最後の最後まで手放さなかったというのはある意味興味深いですよね。

後に彼は千年帝国の首都として、独特の美意識「いいものは廃墟になっても美しい」という哲学のもと

ベルリンを「世界首都ゲルマニア」に改造するプロジェクトにのめり込むのですが、このあたりからその雛形が出てきているみたいで面白いですね。

読むほどに視野が狭まる読書術!

この本、自分の読書を色々と反省する機会になってきた気がします。

なぜかといえば、ヒトラーの読書を見ていると時折自分が陥りそうになる『自家中毒のワナ』にずっぽりとはまってしまっているからです。

ヒトラーは確かに、人並みはずれた読書家であったのですが、読む本がひたすらに偏っています。ドイツ民族やユダヤ問題、人種についてのエセ科学本のようなものをむさぼり読んでいます。

そうでない本でも、進化論を「強いものが生き残る」と誤読したり、それを平気で言っちゃったりする。今ならさしずめ、ムーばっかり読んで吹聴するようなもんですな。

アレはあくまでネタとして楽しむものでしょ(笑)

話半分で読むから面白い!

さらに問題は、この情報は正しいか、正しくないかという追究ではなく、

『自分が元々抱いている観念という「モザイク」を完成させるための「石」を集める』プロセスを踏んでいます。

要は都合のいい所をつまみ食いし、自分の考えを正当化する材料に使う、ということです。

これでは、読めば読むほど、新たな視点をえるのではなく、頭の中がガッチガチに凝り固まっていってしまいます。

まぁ皆さん先刻ご承知のように、彼の思想は極めて極端かつグロテスクなものになり、その古傷はいまだにドイツを縛り付けるトラウマにすら、なっているのです。

では、彼の反対自己の思考を深め、さらに広くする読書術とは、どういうモノなのか?

これが面白いことに同時代の指導者に好例がいるのです。

ナチスドイツと戦い、最終的に勝利した英国首相ウィンストン・チャーチルです。

無教養を濫読で克服したチャーチル

チャーチルは後に「第二次世界大戦回顧録」でノーベル文学賞を受賞しました。

彼もヒトラー同様、少年時代は劣等生でしたが、

青年期に自分の教養のなさを盛り返そうと母親に手紙を送り『当時の知識人なら当然読むべき本』を送ってもらい片っ端から読んだ、という体験をしています。

何がいいか、悪いか分からないが、当時の知識人なら当然読んでおくべきとなれば、その幅は半端じゃありません。

何箱も送り付けられた本は、文学や哲学、歴史や経済学など様々な分野に及び、この時の猛勉強が後のイギリスの宰相を生んだといえるでしょう。

ちなみに当ブログで紹介したギボンの『ローマ帝国衰亡史』も彼の愛読書の一つです。

古典の大著をダメ人間図鑑として読む…ギボン『ローマ帝国衰亡史』
『ローマ帝国衰亡史』といえば、歴史の名著、というイメージですが「ダメ人間図鑑」だと思うと相当に面白いです。人の失敗は蜜の味、という言葉もありますが、この本も「ローマしくじり大全集」的に読むと、面白いですよ。

映像の世紀』というドキュメンタリー番組でも二人の文章が紹介されていましたが、

ヒトラーの文章はひたすら中身のないアジテーションでしたが、

チャーチルのそれは、発展史観、科学万能が大量殺戮を招来させるという20世紀の悲劇を実感した絶望感がにじみ出て、美しいとさえ思えるほどの名文でした。

文章一つみても、2人の格の違いがはっきり分かるほどだった、とさえ思えるほどに。

「引き算の読書」になりはしまいか?

別の言い方をするならば、

ヒトラーは『引き算の読書』を、チャーチルは『足し算の読書』を志向したといってもいいんじゃないかと思います。

ヒトラーは本から自分に合ったものだけを都合よく『引っ張り出して』身に付けた。

チャーチルはいいか、悪いかは判断できないから『本の知識を片っ端から』身につけた。

チャーチルの方法は当然、本ごとに相反するする部分もでてくるでしょうが、それは実体験で磨き上げればいいので、経験にあらゆる方向からの知見を照らし合わせることで、より懐の深い思考ができるのではと私は考えます。

読書を通して何かを得たい、と思うなら当然、『足し算の読書』でないといけないわけで、これまで偏った本を読むという事をちょっと軌道修正させなきゃいかんわ…と反省しています。

【参考図書】

ヒトラー編

チャーチル編

 

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コメント

  1. はっちー より:

    1冊10分で 課題解決の答えを問いかけて
    キーワードを拾い 1つの行動を実践する
    ビリオネアの読書術をやってまして

    月に100冊近く 濫読するので
    この記事は非常に興味深いものでした

    • とーちゃん m_alternative より:

      どうもコメントありがとうございます

      他の方もおっしゃっていたのですが、総合知を養うのがチャーチル式で、知識を集めるのがヒトラー式なんだと思います。

      集めるところがあまり筋が良くなかったこともヒトラーの失敗だったかなと。

    • とーちゃん m_alternative より:

      いつもありがとうございます
      参考になれば幸いです

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