オトナの読書感想文『逝ってしまった君へ』

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今日は8月31日。昔、この頃はやり残した宿題にラストスパートをかけていた頃ですね。

特に苦手だったのは、読書感想文。あらすじ書いて「良かったね」と書いて提出したらオバサン先生に激怒され、書き直しを命じられたことを思い出しました。

夏ですし、小学生のころみたいに何か本を読んで感想文を書いてみようと思います。

今日は、あさのますみさんの『逝ってしまった君へ』の感想文を書いてみようかと思います。

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たとえ、苦しくても…『逝ってしまった君へ』を読んで

肩がゴリゴリに凝るくらいに読んでて緊張した

生きることが、悲しさになったのはいつからの事だろう。

自分の周りで元気に活躍していた人々が、ひとり、またひとりと旅立つたびに何とも言えない寂しさにとらわれる気がする。まして、それが自殺での唐突な喪失感であったなら、その痛みははかりしれないのではないか。

この本を手に取ったのは、そんな理由からといっていい。

努力家で、自分を律することができ、人の良い点を見つける素敵な人物…そんな筆者の親友で元カレが自殺した一報が入ることからこの本は始まる。

亡くなった彼に「君」と呼びかけながら、この本は進んでいく。なんか読んでいる私が語りかけられるようで読んでいて、やたら肩に力が入る。

あまりに緊張しすぎて肩がゴワゴワに凝ってしまった。

途中から、この本で書かれている「君」がなぜか私の意識とシンクロしてしまい、告別式のシーンでは私が自分の葬儀を見下ろしているような、妙な感情にとらわれた。

そして、「君」の母親が会葬者に挨拶をするくだり…

「自ら逝ってしまうなんて、本当に、なんという事をしてくれたんだと思います。でもきっと、本人もとても苦しんだと思うんです。ですからー」

お母さまは、小さな体を折りたたむようにして最後は深々と頭を下げました。

「ですから、みなさんどうか、この子を許してやってください」

(74ページ)

「君」の母親を思い描いたら、私の実母が挨拶している姿を思わず想像してしまった。

大好きな人がこんな思いに苦しめられるのは、嫌だ

筆者は残された彼のメモを読みながら、自殺まで彼が「うつ」とどう戦ったかを真正面から見つめていく。一方で、「君」の遺品整理作業も描写される。

この本を読んでいて、何度この「君」が自分に思えてきたか分からない。

彼ほどスゴイ才能はないし、努力をしているつもりもないんだけど。

ただ、なぜか自分が自殺したら、家族は、友達はこういう風に傷つくのだろうかと思いながら読んでいた。

もう一つ、読んでいて胸をうたれたのは『遺品整理ハイ』のところ。みんな黙々と遺品を整理しながら「大事な人を失った悲しみを持つ者同士で、妙に盛り上がる」姿が胸を締め付けられる。

在りし日の、君の姿。陽気にカホンを叩き、音楽を楽しんでいた時間も確かにあったのだという事実に、なんともいえず癒されるのです。それに、この空間の中でなら、たとえ私が、笑いながら泣いてしまったとしても、誰にも見咎められません。

「あの人がもういないなんて、今私、ほんとに寂しい」

感情を素直に口にできるということ、涙を我慢しなくていいということが、君の死で凝り固まった体を、やさしく温めてくれるのです。(129ページ)

私、一人暮らしですが、もし孤独死なんぞをしたらこんな感じで遺品整理されるのかな…

私の部屋にはカホンはないけど。

こんな私でも、「かけがえのない君」かもしれない

私なんか、43にもなって大した存在にもなれず、世界の片隅で腐っているわけなんですが

「大事な人」を持つことができたのは、人生の収穫だったかなと。

両親や弟夫婦、姪っ子に弟の嫁さんの両親、友人、仕事でお世話になって方々、SNSで交流する皆さん…。

そんな人の顔(顔を知らない人もいるけど)が浮かんできます。

みんなも、もしかしたら同じように思っているのかな…うん、そう思おう。

生きてるって結構しんどくて、うんざりすることも山のようにあるけれど、それでも息しているうちは、生き抜かなきゃな、と。

お別れは、いつか嫌でもやって来る。間違いなく。

だからこそ、幕は自分で引いてはいけない。誰かを悲しませたり、傷つけたりするの嫌だから。

この本を読んで強く感じたのは、このことだった。

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