先日、トンガの海底火山が噴火し日本でも津波注意報が発令されました。
11年前には東日本大震災で大津波が押し寄せ、2万人以上が亡くなっています。
そんなことを考えたわけではないのですが、先週読んでいた本がまさにこの話題にドンピシャで、今回記事にまとめておこうと思いました。
歴史文献から、災害の知恵を読み解く
著者の磯田道史さんは、母親が昭和南海地震で大津波からからくも逃れた経験をもっていることから、災害史に強い興味を持っていたそうです。
この本は、地震や津波、火山の噴火や高潮、台風などの歴史文献を発掘し、彼らの書き残した経験から我々が教訓を学び取ろう、という趣旨で書かれています。
私自身は、やはり東日本大震災および、その大津波に衝撃を受けた一人ではありますが、この本を読んで改めて
「本という代理経験ではあるけれど、災害から身を守るために知識を付けることは無駄ではないな」と思いました。
この本でかなりの割合で記述されているのは、やはり地震と津波です。
私は「海なし県」埼玉に在住していますが、たまたま沿岸地域に行って津波に出くわすかも分からないと、熟読しましたね。
印象的なのが、磯田さんの大叔母から聞いた昭和南海地震の津波体験。
文献の話でもなければ、母親が命を落としていたかもしれないという危機感からかなり詳しく記述されていて実に生々しく、それだけに真剣になって読みました。
危機の時は直感を信じる
また、この本は東日本大震災の記憶がまだ生々しい2014年の著作なので、岩手県の大船渡小学校の柏崎正明校長(当時)の証言も出てきます。
柏崎校長はチリ地震津波(1960年)の経験者で、眼下の津波の様子から即座に、より高台への大船渡中学校への全校避難を決断。生徒の命を救いました。
もともと大船渡小学校は避難所指定されている場所ですから、「決まり」ではそこにとどまるのですが、校長は自分の直感で避難を決断しました。
また時間がないと海側の校門からではなく、山側の裏から直接向かうようにさせたとのこと。
こういったエピソードは、津波を映像でしか見たことのないブログ主にも「津波の恐ろしさと対応するための知恵」がビシビシ伝わってくる内容にまとまっています。
パンデミックの予言が非常に示唆的
そして、特に今回読んでいて印象的だったのは、実は「あとがき」でした。
これから備えるべき自然の危機は三つある。
第一に、地震津波などの地学的危機。 第二に、地球温暖化にともなって台風や集中豪雨が激化することによる風水害・高潮・土砂崩れなどの気象学的危機。
そして、第三に、世界の人的交流の進展やテロの可能性が高まり、抗生物質耐性菌・インフルエンザ・出血熱などの感染症学的危機も高まってきている。
(214~215ページ)
磯田氏の指摘は新型コロナウイルスにおいて、それが決してただのホラではなかったことを証明していると思います。
ただ、今回の著作では感染症については触れていないので、日本史におけるパンデミックも別途読んでみたいと考えています。
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