書き写して分かった!立川談春「赤めだか」の凄さ

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今回の内容は、立川談春さんの「赤めだか」です。

著者である立川談春師匠が天才、立川談志に弟子入りし、二つ目になり真打になるまでを面白おかしく書いた快作です。

流れるように読めるこの本を

好きな場所を書き写してみたら、驚いたことを書いていきます。

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『赤めだか』で際立つテーマは師弟関係

立川談春『赤めだか』は

天才立川談志に弟子入りし

右も左も分からない若造が、いろんな出会いの中から少しづつ成長する物語です。

あちこちに頭をぶつけながら成長する

談春さんの姿も面白いのですが

その若者に対して、師匠の立川談志を始め、

周りの人たちから寄ってたかって、談春に大事なものを教えていく姿が見られるのもまた、楽しいです。

私も若い人に教える(でもよくこっちも教わってる)歳になりましたからね〜。

そして、談志と談春の師弟関係から、談志と談志の師匠、五代目柳家小さんとの師弟関係が見えてきます。

柳家小さんと立川談志は、落語協会の運営のあり方で決別し

談志は弟子を引き連れて「立川流」を創設、落語協会から飛び出した経緯がありました。

師弟共に、名人と呼ばれる噺家でありながらその一件で断絶状態になり死ぬまで顔を合わさなかったのです。

しかし、最後で分かるんですけど、

深いところでこの二人はつながっているんですよね。

談春が真打昇進をかけて行う落語会に、なんと師匠立川談志を破門にした大師匠、柳家小さん師匠のもとに出演依頼をする。

師匠は出演を快諾。

談春は当日、挨拶に小さん師匠のもとへ向かいます。当日の演目が『蒟蒻問答』だと知った小さん師匠は、

なんとその時談春の前で蒟蒻問答をやって見せ、ポイントの部分をさらにもう一度やってみせます。

その指導法が師匠談志と全く同じことに談春さんは感銘を受けます。

そして自身が高座に上がると、マクラで「弟子は師匠に惚れるもん」といって苦笑し笑いを取る。

そこで、談春の談志に対する気持ちを察して、小さんがこの高座を引き受けてくれたと知り、

それに対して破門の身である談志が、弟子のために小さん師匠のところに挨拶をしようとし、師への思いに応えようとした

深〜い真意を知る…

このあたりは、もう何だかジーンときます。

書き写して分かった!文章のリズムの美しさ

…この自伝(的小説)はホント、

落語の知識が無くても楽しく読めるんです。2、3時間あれば一気に読めるでしょう。

文章の一つ一つ、言葉の選び方使い方がいちいち素晴らしい!

磨き抜かれたダイヤモンドのような美しさがあります。

本来なら全部書き写したいが、長すぎるので、特に好きな3つの部分を抜き書きすることにしました。

1つは、イエモト談志の指導法。談春が「狸」という話を教わった時に、談春が感じた「談志のすごさ」に素直に感動したので

もう1つは、弟弟子の志らくとの絡みで、イエモトが言った「嫉妬とバカの定義」。

 

今まで嫉妬という言葉の定義でこれほど人の心を明解に説明したものはなかったので

最後は、談春と親交のあった歌手、さだまさしが彼に投げかけた叱咤激励。

今の僕でも背中にビリっと来るようなすごい話をするんです、あのさださんが。

談春がいつまでも真打昇進をためらっているのを見て、ガチモードで説教するさださんは凄くカッコいいです!

ライブでいつも面白いこと言ってるさださんが、こんなことをねぇ…というくらい真剣。

談春さんに対する思いが伝わってきます。だからここも。

書き写してみてビックリしたのは、文章がホント流れるように写せるのね。

私の書き間違いがほとんどなかった。これは、よほど文章が滑らかでこなれてないと起きないんです。

談志師匠は作中で「落語はリズムとメロディ」だと談春に話していますが、

この文章には間違いなくそのリズムがある!

これまでいろんな文章を書き写してきたけど、こんな事初めてです。

さすがセリフのやり取りですべてを表現してみせる噺家さん。

私は一応書くことが商売なんで「なにくそ!俺ならもっと上手く書く!」

と思わなきゃいけないんでしょうが。もうね、降参!ただただ脱帽しました。

…もちろん、そのまま読んでもホント面白いので、興味のある方、ぜひご一読を!!!

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