23年ぶりの続編『英語達人列伝Ⅱ』は、期待にたがわぬ一冊!

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先日、何気なく本を探していたら、以前愛読した斎藤兆史さんの『英語達人列伝』の続編があったので

さっそく購入して読みました。

大物は前作で大分使い切ったと思っていたのですが、まだまだいましたね。

前作に比べると、やや時代が後の人もいて、

特に「同時通訳の神様」と呼ばれた國弘正雄(1930~2014)さんのような、現代の英語使いも紹介されています。

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いきなりビックリ!嘉納治五郎がトップバッター!!

驚いたのが、嘉納治五郎さんがトップバッターとして登場すること

NHK大河ドラマ「いだてん」でも出てきた、あの加納治五郎さん。

この人が実は教育者としても超一流でまさに文武両道の大人物だったということでした。

校長職を歴任して、英語も読み書きが自在であり、ネイティブを上回る正確な英語を操る人物だったことも、ちゃんと検証されています。

「柔道」のイメージしかなかった私、そうだったんだ!?とビックリ。

しかも、当時でもいた「出羽守」(なんでも「~では」と外国の価値観をありがたがって日本をディスってマウントを取って来る連中)ではない、非常に柔軟な考え方の持ち主で

外国のものでも、真に価値のあるものは、

我が国に取入れて我が国の文化を進め、国力の増進に資することを怠ってはならぬのはもちろんであるが、

今日のように物の道理も考えずに弁別もせず、

何事でも欧米来のものであれば歓迎するというようでは、

国民的自尊心は消滅したかのように考えられる

(29ページ)

という趣旨の日本語論文を残すなど、見識も超一流だったのは、本当に驚きました。

夏目漱石の再評価から、私が見習いたいこと

実は、前著ではさほど評価が高くなかった夏目漱石が、今回収録されています。

著者のえらいのは、前著「英語達人列伝」では、そんなに高く評価してなかった夏目漱石を

キチンと検証し「これは相当な英語の使い手」と分かったら、

いの一番にこの話を持ち出して「間違ってました」と頭を下げたこと。

また、個人的に面白いと思ったのは、イギリス留学時代に

「漱石が言葉が分からず下宿にこもりっきりでノイローゼになった」という俗説をちゃんと検証し、

確かにちょっと精神に変調をきたした証言はあるものの、そんなに英語ができないということもなく割とフツーにロンドンを過ごしていた、という話は

面白くもあり、俗説を鵜呑みにしちゃいけないな、と反省しましたね。

わが心の師、國弘正雄先生が来たー!

そして、この本で私が一番楽しみにしていたのは「同時通訳の神様」國弘正雄先生の章。

國弘先生に直接指導を仰いだことはないものの、20代のころに『國弘流英語の話し方』を読んで、一念発起し英語を学びなおしたことがあるんで

この人の話はぜひ読みたい!と。

國弘先生の本にも、先生の若いころの話は出ているのですが、やっぱり本人と他人だと

見え方が変わってくるのが面白いです。

例えば、國弘先生は「只管朗読」という音読を愚直に繰り返す方法を広めた方で「中学校の教科書を最低500回は音読した」と語り、

それが國弘先生の代名詞にもなっていたのですが

斎藤兆史さんは、國弘先生が「留学時代に一番困っていたのは授業でたくさんの本を読まされたことで、留学を志す人は多読に慣れるように」というところに目をつけて

「回数を強調しているからといって、量を読んでいないことにはならない」と指摘していることが非常に示唆に富んでいます。

また、伝説の「アポロ11号の誤訳」伝説もキッチリと収録されていて

これは、ぜひ皆さんに実際に読んでほしいところ。

「アポロ11号の通信を同時通訳しろ」と言われて

本人は嫌がって雲隠れしたのに、NHKが居場所を探してムリヤリ東京に連れてきた。

「聞こえたらなんでもいいから訳せ!」と言われて

案の定、通信は雑音だらけでろくすっぽ聞き取れず、國弘先生大ピンチ。

たった一語 ” orijin “が聞こえた時、同時通訳の神様はどう訳をこしらえたか。

爆笑モノのエピソードなんでおススメです。

最後の國弘先生の評価が、また素晴らしい。先生の本質をズバリ突いたような気がするんです。

興味深いのは、國弘自身とてつもなく厳しい「修行」を体験したとはいえ、

それを「只管朗読・只管筆写」というわかりやすい形で大衆に示したことである。

そこには、道元の教えと、法然・親鸞・一遍の教えが同時に入っているような気がしてならない。

それは、禅宗の厳しさと念仏宗の優しさを見事に融合した英語学習法なのだ。

(201ページ)

英語学習で大事な「読む」ことを再認識

前作と本作に共通されて貫かれているのは

現在の日本の英語教育で軽視されがちな、英文解釈や朗読、暗唱、多読といった方法はやっぱり大事だということ。

彼らの学習法をまとめていくと、やはりそこが共通点として浮かび上がってきます。

なぜか、英語の達人たちはちょっと変わった人が多くて、そんな変なエピソードでブログの記事が一本書けちゃうくらいなんですが

【参考記事】

極めるには狂気もいるのか??『英語達人列伝』は変な人ばかりで面白い!
斎藤兆史さんの『英語達人列伝』を読み直しています。日本の英語達人がいかに努力してその業績を成し遂げたかを書いた新書なんですけど、この本に出てくる人は、一癖も二癖もあります。女好きだったり、偏屈だったり、英語フェチだったりと、英語以外でもメチャクチャ面白い人ぞろいなんで、ぜひ読んでみて下さい

英語の勉強に迷っている人にも、いいアドバイスになるのではないか、と私は思いますね。

 

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