狭い空間で生活しながらストレス回避。三密の職場「マグロ船」船員のストレス管理に学ぼう

スポンサーリンク
スポンサーリンク

みなさま、こんにちは。

新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、「新しい生活」が提唱されています。誰しもが、これまでにない生活の変化に戸惑い、いらだつことも多いかと思います。

例えば、テレワークの発達は自宅勤務を可能にし、通勤時間を省くことができても、家族との距離を密に取らなければならなくなり、いさかいが多くなったという話も聞き及んでいます。

また、これまでなら現場の阿吽の呼吸で進められたことも、微妙なズレを感じて上手くいかないという人も出てきているのではないでしょうか。

こんな時は、新しい生活の逆、三密がすべて揃う「マグロ船」の船員のストレス管理に学んでみるのはいかがでしょうか?

スポンサーリンク

上司の無茶振りで、マグロ船に乗り込んだ著者!!

 

それが齊藤正明さんの『会社人生で必要な知恵はすべてマグロ船で学んだ』という本です。

著者は、マグロの鮮度保持剤の開発をしていた時、上司の無茶振りで全長20メートル、9人乗りのマグロ船「東丸」に乗り込みます。

皆さんは、マグロ船というとどういうイメージをお持ちでしょうか…お恥ずかしいのですが、私はこの本を読むまで

キツい、危険、怖いの3Kに、腕っ節が強くて荒っぽい「海の男」に囲まれ、闇金ウシジマくんの登場人物のような「落ちた人」の終着駅というイメージを持っていました。

要は徹底的にネガティブなイメージだったわけです。

さらに、生活圏は全長20メートルの船内。そこに9名が生活します。

蚕だな見たいなベッドで、プライバシーも限られる。出会う人は来る日も来る日も同じ顔です。

つまり生活圏は密室、密接、密集の三密です。それが、一年近く続くわけですから。

たとえコロナがなくったって、神経が磨り減る…そう思うでしょ?

 180度違ってた「マグロ漁船」の中!

しかし!それはこの本で木っ端微塵に砕け散りました。

海の男たちは確かに屈強なのですが、長い時間狭い、不自由な環境に身を置き、海という人間の力をはるかに上回る力を持つ相手に仕事をするために

自分のストレスを溜めず、かつお互いのためになるようなコミュニケーション能力に長けた「実践的心理学者」になっていくのだそうです。

考えてみれば、オープンな世界にいるならば、商売じゃなければ会わなくていい。

しかしマグロ船の中は「嫌な奴だな」と思っていても、相手を海に叩き込むわけにはいかないわけです。また自分が海に飛び込むわけにもいかない。

今ある環境をどうやって可能な限りで住みやすくするか。それには、伝え方なり、心構えなりといった自分のスキルを磨くしかないわけです。

そして、この本の中で、海の男の飾り気のない言葉で書かれる言葉が、核心を突いていて実に面白いのです!

努力はもともと報われない

マグロというのは、そんな入れ食いに獲れるもんじゃない。

魚群探知機でいそうなところに向かっても、ボウズの時だってあります。

営業の仕事を経験しているから分かるのですが、ボウズほど疲れるものはありません。

しかし、船員たちはそういったとき、このような言葉を著者に投げかけます。

漁師…「今日はなかなかマグロがかからんの」

私(著者)…「努力が報われないときって、ちょっとつらいですよね」

漁師…「何を言うちょるか。努力やらは、もともと報われんのぞ」

(中略)

漁師「『努力』っちゅー言葉には、どっか『結果』という見返りを期待しちょるように聞こえるの。でもの、努力はたいてい報われんのぞ。最初から報われる期待をして努力すると、『努力したのに……』とすぐにあきらめよる」(53ページ)

最近つくづく感じるのですが、一生懸命にやった仕事が実を結ばないことが結構あるんですよね。

だけれど、仕事を止めるということにはならない。

やるものはやらなきゃしょうがないし、やらなきゃ可能性はゼロですから。

できることを誠実に淡々と積み上げる、その結果、成果が積みあがる位に考えた方がよさそうです。

叱る理由は明確に説明する

また、今本当に難しくなった「叱る」こと。

パワハラだと傷つく人もいるし、本当に難しいですね。しかし、マグロ船は下は海です。しくじったら死もあるからミスが船員を危険にさらす可能性もある。

こんな時、あなたならどう、叱りますか?

著者は写真撮影をしていて、マグロを取っていた漁師に怒鳴りつけられます。

しかし船ではそこで終わりません。

後で著者にその漁師さんがフォローに入るのです。これが「叱る」という視点から見ると実に面白いんですよね。

「齊藤(著者)、お前が立っちょった足元には、揚げた縄があったのに気づいちょったか?縄があるところは危ないんど。

針にかかって海でもがくマグロが、時々縄を思いっきり引っ張ることがある。そうするとの、縄が足やらにからまって海に引きずり込まれるんど。

××丸に乗っちょる○○を知っちょるじゃろ?

アイツは前に、暴れたマグロのせいで縄についた針が体に刺さったうえ、海に引きずり込まれたことがあるんど。

そのときは、マグロが運よく深く潜らなかったから、みんなで縄を引っ張り揚げて助かったんじゃが、かなり危なかったんど。

だから縄のそばには近寄るな」(167ページ)

危ない時は最優先でその場から離し、その意図を後で具体例を交えて説明する。

海の男の言葉は一見荒っぽいですが、理にかなっていると思います。

学はなくても、智のある人々

このように、この本の中には決して難しい表現は出てきません。

しかし、極限の三密職場で磨かれた彼らの経験則は、どんな学者よりも実証的かつ実践的です。

毎日、ストレスを感じながら生活する僕らにも必ず役立つ「生き方、考え方」が200ページちょっとの中にギッシリ入っています。

難しい話は一切なく、サクサクと読めて参考になります。

普段本なんか読まない方にもぜひお勧めしたい一冊です。

また、人間関係でお悩みの方には「ムツゴロウさん」こと畑正憲さん直伝の人間の付き合い方もおすすめです。詳しくはこちらから。

ムツゴロウさん直伝!人間という「動物」の付き合い方
どんな動物にも体当たりで触れ合ってきた、ムツゴロウさんこと畑正憲さん。そんな彼が語る「人間という『動物』の付き合い方」は言葉を使う人間であっても、本質的なところでは動物と同じなんだ、という面白さを感じます。あと実践したら生きるのが楽になりました。

最後まで読んでいただきありがとうございます。この記事が面白かったらTwitterリツイートやシェアボタンでの応援よろしくお願いいたします。

コメント

  1. […] […]

タイトルとURLをコピーしました