ついに、波乱の昭和始まる―『昭和天皇物語』7巻を読む

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この記事は、能條純一『昭和天皇物語』第7巻を説明します。

明治、大正と続き、いよいよ波乱の昭和に時代が移ります。

この辺は、意外に日本人でも的確に状況を把握している人は(私を含めて)あまりいません。

従って、私のこれから書くことは「私は昭和天皇物語のここを見ている」という意味で考えていただければ幸いです。

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陸軍に兆す「分裂の萌芽」

大正末期からなのですが、

次の天皇であった摂政裕仁(昭和天皇)と皇嗣殿下秩父宮雍仁親王は、政治的な立ち位置が徐々に変わってきます。

イギリス流の立憲君主を旨とし、民に親しむ姿を理想に置く昭和天皇

陸軍で安藤輝三や永田鉄山などに接している秩父宮では、

意見が対立するのも、やむを得ないとは思います。このマンガでは、比較的安藤に心を寄せている秩父宮ですが、

私が気になったのは、秩父宮が親しく接した安藤輝三のこの独白です

(秩父宮)殿下が日本に戻られたあかつきには、

殿下のお力になれたら光栄です。

私、安藤輝三は農村の貧窮…

貧しい農民を救いたいと存じます。

殿下のもとで!!

こいつ、政治家にでもなるつもりか!?

いや、まぁ安藤輝三は後に2.26事件を起こす青年将校の一人ですから、

この頃から「病気」は始まっていた、ということでしょうね。

私からすると一軍人が天皇を担ぎ上げ「世直し」を実行したい。しかも天皇は自分の好きな人がいいな

って言ってるようなモンで、若気の至りとはいえ、危なっかしくてしょうがない。

また、永田鉄山ね。

以前、新書で永田鉄山のことを知ったのですが、この人は

戦争は軍隊だけでドンパチやる時代は過ぎて、国を挙げて「総力戦」をやる時代になっている

第一次世界大戦を研究して結論を出した人物です。

日本は、というと第一次世界大戦では、ごく限定的な参加に限られたため

総力戦への理解が足りないし、体制が整っていないとも考えています。

安藤輝三は「皇道派」、永田鉄山は「統制派」とカテゴライズされることになるのですが、

陸軍は後にこの2派に真っ二つに分かれることになります。

私には、この2派が綱引きをして、秩父宮をどっちが引っ張り込むか?という展開になるのかな?

とも、感じました。

昭和天皇の「天皇としての若さ」

昭和天皇は明らかに、中国大陸の動静に対し、

田中義一総理大臣の煮え切らない態度に徐々にいら立ちを強めています。

立憲君主は「君臨すれども統治せず」が旨ですから、自分の意見は出してはいけないもの。

だけど、昭和天皇だってまだ、25ですからね。

若さというのは、そういう所を抑えられない危うさを常に秘めているということでしょう。

昭和天皇と鈴木貫太郎の邂逅

また、この巻で、後の日本に超重要な影響を与える出会いがあります。

昭和天皇が海軍演習で当時海軍軍令部長(作戦畑のトップ)鈴木貫太郎との出会いです。

鈴木の妻は、幼少期の昭和天皇の養育を担当した、足立たか。

「たかの嫁いだ男」という接点から二人は距離を縮めていきます。

そして、この巻の後、鈴木貫太郎は「降格人事」になる侍従長に就任します。

昭和天皇の平和への意志を体現すべく、鈴木侍従長は奮闘することになるのですが…

これからは、令和の我々が読んでおくべき、様々な出来事が続きます。引き続き、目の離せない展開ですね。

まだ読んだことのない人は、7巻からと言わずぜひ1巻から読んでください。

その方が、世の中の変化がよく分かるので。

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